2020-07-23

【報告】差別なくコロナ禍における支援措置の適用を求める省庁要請&拡大金曜行動

<省庁要請行動>





 
  当会は7月17日に参議院議員会館にて、「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』(5月19日に創設発表)において、その事業の対象から朝鮮大学校(朝大)の学生たちが除外されている問題など、コロナ禍における諸般の支援措置から朝鮮学校をはじめとする外国人学校を除外することなく対象とするよう求める要請を行いました。

 水岡俊一・参議院議員の参席の下、無償化連絡会を代表して長谷川和男・共同代表が要請文を読み上げ、文科省、厚労省の担当官に提出しました。


 
 要請文(※全文は文末)では

日本の法令(社会福祉士及び介護福祉士法施行規則)によって高等教育機関としての実態が認められ朝大卒業生の社会福祉士の受験資格が認められていること

厚労省の感染症による助成事業において外国人学校の保護者も対象となっていること

文科省自身も感染症対策のためのマスク等購入支援事業の『実施要領』においても各種学校である外国人学校を対象としていることを指摘。

 「各種学校」では多種多様な教育が行われているということを排除の常套句とすることなく、朝大で学ぶ学生を「給付金」の対象とし「学びの継続」を支援することをはじめ、コロナ禍における諸般の支援措置から朝鮮学校をはじめとする外国人学校を除外することなく平等に扱うことを強く求めました。


 要請行動は1時間以上にわたり行われ、参加者らからは支援措置からの排除は在日朝鮮人に対する明確な差別であること、制度設計を口実にすることなく外国人学校も当然に制度の対象とすべきことが強く訴えられました。

  さらに、第2次補正予算案で組み込まれた最大1500万円を支給するという各学校への支援策において、各種学校である外国人学校が対象とされていないことの問題点についても指摘がなされました。日本政府の緊急事態宣言を受けて法律(新型インフルエンザ等対策特別措置法/第452項)に基づいて、都道府県が各種学校である外国人学校へも使用制限(47日〜)を要請したにもかかわらず支援策の対象としないこと、文部省の外国人に対する教育政策の問題を指摘する声が挙がりました。


拡大金曜行動>

 そして要請行動の後、18時から文科省前で拡大金曜行動が行われました。金曜行動は感染症感染防止策が徹底されるなか行われました。

 拡大金曜行動には約200人が参加。参加者らは朝鮮学校「無償化」排除の問題に加え、新型コロナウイルス禍での朝鮮学校排除についてそれぞれの思いを訴えました


まず初めに東京朝鮮中高級学校オモニ会を代表して発言した保護者の方は、朝鮮学校は子ども達のアイデンティティを育む場所であって、そうした民族教育は朝鮮学校でしか学ぶことのできないものだということを強く訴えました。そして「日本政府は差別がどのようなことかわかっているのか、子供たちがこのような迫害を受けて育ってしまうことがとても不安でならない」と話しました。


朝鮮学園を支援する全国ネットワーク事務局長の藤本・共同代表は「日本と朝鮮半島の辿ってきた歴史、人間一人一人の権利を考えて、一人一人の命の重みを感じればこんな差別をするわけにはいかないと思う。それが当たりまえの社会である。子供たちの未来のためにこの差別を辞めて新しい時代を作っていただきたい」と一刻も早く差別をなくすことを呼びかけました。


 さらに今回の金曜行動では、様々な地域で活動を行っている方々が駆けつけ、この間の活動についても報告がありました。

地域からの発言としてまず初めに、埼玉から「外国人学校・民族学校の制度的補償を実現するネットワーク」の斎藤さんが代表して幼保無償化の交渉を行ったときに感じた思いを訴えました。




続いて千葉からは「千葉ハッキョの会」の呼びかけ人であり、「日朝友好千葉県の会」事務局長でもある堀川さんが、コロナ禍における千葉ハッキョ支援の取り組みについて報告しました。
  コロナ禍で学校の運営が厳しくなった千葉ハッキョのためにカンパを募ったところ、予想以上にその支援の輪が広がりなんと300万円以上もの支援金が集まったとのことです。
 「新型コロナウイルスで苦しい状況の中でも日本の方々で300万円を集めたということは我々の活動の励みになった」として、今後の活動への意欲を文科省前で訴えました。


 「立川町田朝鮮学校支援ネットワーク・ウリの会」として活動している千地さんは、ウリの会基金を設立し、その第一次金として170万円を寄付したことなど、この間の活動を報告しました。


最後は、「朝鮮学校とともに・練馬の会」の堀さんが、これまでの活動と今後の活動の意欲について、報告しました。その中で「無償化問題を日本社会の問題として取り組み、広く仲間を集めて大きな世論として進んでいきたい」と今後の活動をより広範なものにするべく活動を続けていくと強くアピールしました。


 各地域からの報告が終わった後、まとめとして無償化連絡会から田中宏・共同代表が発言しました。
 「我々の闘いは歴史の中でどういう位置にいるのかを確認することであり、同時にそのことを文科省職員にも肝に銘じてほしい」として、100年前の歴史を振り返りながら「私たちの闘いにはきちっとした筋金がある。植民地主義が清算されない限り私たちの闘いは終わらない。朝鮮学校は在日朝鮮人の宝であるとともには日本の宝であるということを踏まえて私たちの運動を進めていくことが必要である」と強く訴えました。


 全体の最後に、この厳しい状況にも屈せずこれからも力強く活動を行っていくという気持ちを込めて、金曜行動の歌とシュプレヒコールを強く叫んで、40分にわたる拡大金曜行動は終わりました。




要請文(PDF)

2020717
文部科学大臣 萩生田 光一様
厚生労働大臣 加藤 勝信様
内閣府特命担当大臣 衛藤 晟一様

「学生支援緊急給付金」からの朝鮮大学校排除をはじめとする
新型コロナウイルス関連支援策における朝鮮学校排除の撤回を求める要請文

朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会
共同代表 坂元ひろ子、佐野通夫、田中宏、長谷川和男、森本孝子
連絡先:東京都三鷹市北野3-9-34
090-9804-4196(長谷川和男)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で困窮する大学生らが修学をあきらめることがないよう、現金を支給する「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」(以下、「給付金」)の創設が519日、文部科学省により発表されました。困窮する学生の「学びの継続」のための支援策が打ち出されたことは評価したいと思います。
 けれども、本施策には、第一に、支給対象者が非常に少ない。第二に、「給付金」の対象のうち留学生にかぎって成績上位の要件が設けられているという問題も既に指摘されています。
 ここで私たちが特に強く抗議したいのは、この給付金の対象となる「学生」には、「一条校」(学校教育法第1条)である大学や専門学校及び日本語教育機関、さらには外国大学日本校(米・テンプル大学日本校など8校)も含まれる一方で、各種学校である朝鮮大学校(東京都小平市)はその対象から外されていることです。
 文科省は「各種学校」では多種多様な教育が行われているということを、排除の常套句にしています。たしかに自動車教習所やそろばん学校をはじめ各種学校の認可を受けている教育施設は多種多様です。しかし、2012年、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則が改正され、「各種学校(高卒者らを入学資格とするものであつて、修業年限4年以上のものに限る)を卒業した者」が加えられ、朝鮮大学校卒業者にも、社会福祉士の受験が認められることになっていること、また大学院進学に門戸が開かれていることに鑑みても、同じ各種学校の中でも自動車教習所などと切り分けて大学に相当する教育施設を「給付金」の対象とすべきです。
 また新型コロナウイルス感染拡大の事態下、厚生労働省が休校措置に伴う施策として3月に実施を決めた「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」においては「各種学校(幼稚園または小学校の過程に類する課程を置くものに限る)」もその対象とし、朝鮮学校をはじめとする外国人学校の保護者も助成金を受け取れることとなりました。
 文科省においても、4月小中高に対する布製マスクを配布することとなり、その配布対象に「各種学校の認可を受けた外国人学校の児童生徒及び教職員」も加えており、さらに63日に出された感染症対策のためのマスク等購入支援事業の『実施要領』においても、その対象に「各種学校(うち幼稚園、小学校、中学校、高等学校に相当する課程。外国人学校を含む。)」と明記しています。
 この度の「給付金」からの朝鮮大学校排除はコロナ禍対策としてのこれら一連の流れに逆行するものであり、これでは、文科省は、感染拡大防止のためには外国人学校にマスクの配布等はするが、そこにいる当事者の窮状には目を向けないという姿勢なのだと断じざるを得ません。
 文科省はまた第2次補正予算案に、公私立のすべての小中高校と特別支援学級に最大1500万円を支給するという支援策(「学校の段階的再開に伴う児童生徒等の学びの保障」)を組み込んでいますが、ここには各種学校である外国人学校は含まないとしています。
 これも一連の流れに逆行するものであり、新型コロナ特措法(正式名称「新型インフルエンザ等対策特別措置法」)において「使用の制限等の要請の対象となる施設」に「各種学校」が入っている(同法施行令第11条)こととの整合性からみても到底看過できない問題です。
 私たちは、政府に対して、朝鮮大学校で学ぶ学生を「給付金」の対象とし「学びの継続」を支援することをはじめ、コロナ禍における諸般の支援措置から朝鮮学校をはじめとする外国人学校を除外することなく平等に扱うことを強く求めるものです。

以上

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